【レビュー】ラジアントヒストリア
ラジアントヒストリア、略称ラジヒス。
TV-CMのキャッチコピーは
〝死亡フラグをへし折るRPG〟
なんて素敵なキャッチコピーでしょう
はい、では行ってみましょう。
【作品データ】
タイトル:ラジアントヒストリア
発売元: アトラス
ハード:ニンテンドーDS/ニンテンドー3DS
発売日:DS版-2010年11月3日/3DS版-2017年6月29日
ジャンル:RPG
CERO:B(12才以上対象)
公式HP:http://radianthistoria.jp/
※リメイク版のサイトに繋がります。
発売元はアトラスですが、元々は高屋敷哲氏(スターオーシャン ブルースフィア、ベルアイルetc)とこにしひろし氏(ラジアータストーリーズ、キャラデザ)の二人が共同で企画書と試作をアトラスに持ち込み、出来上がったもの。
持ち込まれた当初は破滅的な結末のストーリーだったそうです。
すで嫌な予感がしますが、そんな開発情報を全く知らないまま、CMのキャッチコピーにまんまと釣られてプレイ開始。
シナリオ
おおざっぱな流れとしては、主人公である国の諜報員ストックが魔法の書物「白示録」を使い、時間移動をしながら世界の破滅を防ぐためにいくつもの時間を奔走する、というもの。
ドット絵で描かれたキャラクターやフィールドは、懐かしさもありつつ、チープにもならず、世界観に合った素敵なグラフィック。
ストックは、諜報員だというのにトレードマークは派手な赤い服、そして綺麗な金髪。
性格は、無口で冷静沈着。しかし、仲間が傷つくことが何よりも嫌いな意外と熱い人柄。
はい、好き。
脇を固めるキャラたちも、個性的で素敵です。
魔法も使える槍使いの少女レイニー、剣を使い回復も出来る小柄な少年マルコ、ストックの親友で大柄の軍人ロッシュ、角が生えたサテュロス族のアト等。
特に大事なのは、ストックの上司で情報部総督のハイス。
怪しさ満点の顔したおじいちゃんで、怪しさ満点の行動ばかりするんですが、結末まで見るとその全てが胸に来るんですよ。
中盤、「過去に戻って未来を変える」というシナリオの都合上、何度も同じイベントを見る羽目になるのはちょっとダレるポイントですが、隅々までイベントを見たい派なので個人的には許容範囲。
その煩わしさも吹き飛ばせる綿密なシナリオ構成だと思います。
推しは誰?
さて、そんなシナリオの中で、今回の推しの話。
すでにお気づきとは思いますが、一人目は主人公のストックです。
基本的に金髪には弱いですね。
あと単独行動しがちな役割のキャラとかね。
(今回は諜報部員でありながらシナリオ上では仲間をぞろぞろ連れてます。まあ……そこはRPGの主人公だからね)
実はもう一人いまして、キールという純朴でポジティブな性格の新人兵士君がいます。
表情がコロコロ変わって、元気いっぱいで、可愛いんですこのこ。
公式さんの画像張る訳にも行かないのでね、ググって。
「ラジヒス キール」でググって!
儀礼用の剣舞は得意だが、実戦は苦手なんていうところも可愛い。
……ええ、まあ、はい。
ね。
しつこいようですが、キャッチコピーは、
〝死亡フラグをへし折るRPG〟
です。
キール君、とある作戦中に敵の奇襲にあって死んでしまいます。
名前のあるキャラで死の描写がある子たちは、その後「白示録」で死を回避していき、それが結果的に世界を破滅から救うキーとなっていきます。
しかしキール君の死亡フラグ、本編中では完全にスルーなんですよ。
結構壮絶な描かれ方しているのに。
おかしいな……この子だけ死亡フラグ……へし折れな……。
ちなみにこのゲーム、マルチエンディングです。
多数のバッドエンド、きちんと完結させるエンドと多種多様。
ストーリー進行上、必要な〝へし折れる死亡フラグ分岐ポイント〟の他に、サブの分岐死亡フラグがあり、それらを全部網羅すると、真エンディングに繋がるようになってます。
※エンディングの感想については記事の一番最後に「続きを読む」から見られます。
スマホからだと畳まれませんので、ワンクッションがてら商品リンク貼ってあります。
ご注意ください。
リメイク版はシナリオが追加されているようなので、あの感動のエンディングから何が起きるのかとても気になります。
実は購入済みなので、いずれプレイ日記をあげようと思いますのでその時はよろしゅうに。
では、独断と偏見にまみれた評価行ってみましょう。
【評価】
シナリオ:S++ システム:B ボリューム:B
キャラ:S グラフィック:A 音楽:S+
推し/生死:主人公、キール/本編では消滅又は死、両者ともEDで復活
総合:S
シナリオがとにかく良かった。
タイムトラベルが始まったあたりからのイベントループはちょっとダルいですが、それを補って余りあるシナリオ。
下村陽子さんの少し悲し気な音楽。
霜月はるかさんが歌う主題歌「-HISTORIA-」は涙なしには聞けません。
もう一度、じっくりプレイしたいゲームです。
エンディングの感想
さて、エンディングについて。
結論を言うと、主人公のストックは世界を救うニエとなり仲間のいる世界からは消滅することを選びます。
そもそもこの世界はニエの魂を捧げる儀式をしなければ、壊れてしまう脆すぎる世界。
世界を維持するためには、グランボルグの王族がニエを用いた儀式が必要で、ストックはその為のニエだった。
ストックは本来〝エルンスト〟という名で旅の途中で出会うグランボルグ王女エルーカの兄。
ニエとなるため一度命を奪われ、かりそめの生を与えられているだけの存在でした。
そして、上司だったハイスも実はニエだった者。
ストックと同じく「白示録」を持ち、ニエがいなければ成り立たない世界そのものに絶望し、ニエだった〝エルンスト〟を〝ストック〟と名を改め、自分の元で部下として育ていました。
最終的には、ストックをニエにしないため、強硬手段としてストック達の前に立ちはだかります。
そんなハイスを倒し、儀式の間に戻ったストックは、ニエを使わず儀式を行おうとして倒れ込む妹のエルーカに
「おまえにはおまえにしか出来ない義務を果たせ。俺も俺だけの義務を果たす。」
と語りかけ、二人で儀式を執り行います。
ストックの居なくなった世界で、仲間たちはそれぞれの未来に向かって生きていきます。
そんな中ロッシュ達は、キールを含む戦いの中で命を落とした仲間たちの墓参りに行きます。
そこにストックの墓は無く、ロッシュは「ストックはいつか帰ってくる」と信じ続けていました。
「やっぱり!死んだことにされてる」
墓を去ろうとしたロッシュに声が掛かります。
キールでした。
共に死んだはずの兵士たちも一緒です。
キールは、あの時、助けてくれた旅人がいたのだと言います。
しかし、なぜかはっきりとは思い出せず、唯一覚えているのは〝赤い服を着た旅人〟だったという事だけ。
それを聞いたロッシュは、ストックは帰ってくると確信し、待つことを決意します。
通常エンドはここまでです。
真エンドは更にイベントが入ります。
ストックの決意と想いをハイスも理解し、魂が浄化された事でハイスがニエとしての資格を得て、ストックの代わりにニエとなります。
かりそめの生である事は変わらないものの、ストック生き続ける事が可能となり、仲間の元へ帰っていきます。
結局ニエを必要とする世界だという事は変わらぬままなので、この先ストック達はその理を帰るために戦うのかな……?
と思わせてくれるエンディングですね。
でも……
唯一折れなかった自分の死亡フラグもへし折ってくれましたよ!!
ボロ泣きです。
DS握りしめたまま、スタッフロールは涙で霞んでぜんぜん見えていませんでした。
とりあえず、ストック生きてくれて良かった!!
ところでエルーカさん、DS版では髪型がベリーショートでそりゃもうキリッとしたベリーキュートな妹さんだったのに、リメイク版ではロングヘアなんですよね。
ロングも可愛いんですけどね、リメイク前のキャラデザが大好きだったから、なんだか全否定されたみたいで悲しいですね……。